ここまで見てきたように、力士の年収は番付だけで決まりません。
同じ横綱でも、優勝回数、金星の数、力士褒賞金の積み上がり、懸賞金の獲得本数などによって収入は変わります。
番付別の年収目安は?
最初に、2026年の月給を12か月分に換算した基本的な金額を整理すると、次のようになります。
- 横綱:3,600万円
- 大関:3,000万円
- 関脇・小結:2,160万円
- 前頭:1,680万円
- 十両:1,320万円
2027年1月からは、横綱3,960万円、大関3,300万円、関脇・小結2,400万円、前頭1,860万円、十両1,440万円に上がります。
ただし、これは月給を単純に12倍した金額です。実際の年間報酬には、賞与や本場所特別手当、出張手当、力士補助費、力士褒賞金なども関係します。
したがって、上記の金額をそのまま実際の総年収と考えるのは正確ではありません。
現役力士の年収ランキングは公式発表されている?
日本相撲協会が全力士の総年収ランキングを公式に発表しているわけではありません。
相撲専門の観戦情報サイトなどでは、公開されている番付や成績から力士褒賞金を計算し、推定年収をランキング形式で紹介しています。
ただし、こうしたランキングは独自計算による推定値です。個々の力士の賞与、懸賞金、税金、個別の収入などをすべて反映した確定的な年収ではありません。
人気力士は懸賞金だけでも大きな収入になる
人気力士の場合、懸賞金の獲得本数によって収入が大きく変わります。
例えば、1場所で懸賞を100本獲得した場合、力士の獲得分は合計600万円です。
加えて、幕内優勝を果たせば2026年の制度では1,000万円、2027年1月以降は2,000万円の優勝賞金が加わります。
三賞を受賞すれば、さらに賞金が支給されます。
こうした変動収入があるため、単純な番付別月給だけでは力士の経済的な実力を比較できません。
力士の生活費はどれくらい?幕下以下と関取の違い
力士の生活費を考える場合、一般的な会社員と同じ感覚で収入を比較することには注意が必要です。
幕下以下の力士は、相撲部屋での共同生活が基本です。住居や食事が部屋によって支えられるため、一般的な一人暮らしとは支出の構造が異なります。
一方、関取になると個室が与えられ、付き人が身の回りの仕事を担うなど、生活環境が変わります。
元力士の体験談でも、幕下以下の時期には住居と食事が部屋から提供される一方、場所手当は日用品などの個人的な支出に充てていたことが紹介されています。
つまり、幕下以下の力士の収入が少ないからといって、一般の単身生活者と同じ家賃や食費を負担しているとは限りません。
反対に、関取になって月給を受け取るようになると、個人の生活に関する選択肢も増えます。
【2027年給与改定の背景】力士の待遇改善は相撲界をどう変える?

2027年1月の給与改定は、単なる金額の変更ではありません。
大相撲を支える力士全体の待遇を見直す動きとして注目されます。
関取の給与改定は2019年以来8年ぶり
日刊スポーツの2026年7月30日の報道によると、関取の給与改定は2019年以来8年ぶりです。
横綱は30万円、大関は25万円、三役は20万円の月額増額となり、関取全体でおおむね1割前後の引き上げとなりました。
幕下以下の場所手当も6〜9%程度増額され、勝星金や勝ち越し金も引き上げられます。
優勝賞金の改定は33年ぶり
今回の改定で特に象徴的なのが、幕内優勝賞金の2,000万円への引き上げです。
1994年以来33年ぶりの改定であり、従来の1,000万円から倍増します。
日本相撲協会の藤島広報部長(元大関・武双山)は、物価高騰の中で力士の待遇が据え置かれていたことや、他競技との比較を踏まえた賞金額であることを説明したと報じられています。
また、報道では前年度の協会収支が約13億円の黒字だったことや、入場券収入、グッズ販売の好調も背景として伝えられています。
改定によって注目したい3つのポイント
今後の相撲界で注目したいのは、次の3点です。
1. 幕下から十両への昇進価値
幕下以下の場所手当が上がっても、月給制との格差は依然として大きいままです。十両昇進が持つ経済的な意味は、今後も大きなものになります。
2. 優勝争いの賞金価値
幕内優勝賞金が2,000万円になれば、優勝という実績の金銭的な価値も高まります。三賞も300万円に増額されるため、優勝争いだけでなく、個々の取組での活躍にも注目が集まります。
3. 力士全体の生活基盤
関取だけでなく幕下以下の力士にも手当の増額が行われる点は重要です。相撲界の将来を担う若手力士にとって、下積み時代の待遇改善は競技を続けるうえでの支えになります。
【プロの結論】相撲の給料は固定収入と実績収入の2つで考える
相撲の給料を正しく理解するには、収入を2つに分ける必要があります。
1つ目は、番付によって決まる固定的な収入です。関取の月給や賞与、幕下以下の場所手当などが該当します。
2つ目は、成績によって変わる収入です。勝星金、勝ち越し金、力士褒賞金、懸賞金、優勝賞金、三賞などが含まれます。
特に見落としやすいのが、幕下以下の勝星金と、関取の力士褒賞金の違いです。前者は場所ごとの勝ち星に応じた奨励金、後者は過去の実績が積み上がる報酬制度です。
年収を比較するときは、月給だけなのか、年間の賞与や各種手当まで含むのか、優勝賞金や懸賞金を加算しているのかを確認する必要があります。
この3点を区別するだけでも、ネット上の年収ランキングや力士の収入に関する情報を、より正確に読み取れるようになります。
【相撲の給料】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:横綱の給料は2026年現在いくらですか?
2026年11月場所までは月額300万円です。2027年1月の初場所からは330万円に増額されます。月給だけを12か月分に換算すると、2027年は年間3,960万円です。
Q2:幕下以下の力士には給料がないのですか?
幕下以下には関取のような月給制度はありません。ただし、本場所ごとの場所手当と、勝ち星や勝ち越し点に応じた奨励金が支給されます。2027年1月からは幕下の場所手当が18万円、序ノ口以下が8万2,000円になります。
Q3:相撲の懸賞金は1本いくらですか?
懸賞金は1本7万円です。協会の手数料1万円を差し引いた6万円が勝った力士の獲得分となります。2025年5月場所以降は、1万円が土俵上で現金支給され、残り5万円は口座に振り込まれる方式です。
まとめ:相撲の給料は番付と成績で大きく変わる
相撲の給料は、横綱・大関・三役・前頭・十両という番付によって決まり、十両以上の関取と幕下以下では報酬制度そのものが異なります。
2026年11月場所までは横綱300万円、大関250万円、十両110万円の月給ですが、2027年1月からは横綱330万円、大関275万円、十両120万円に増額されます。
幕下以下についても、場所手当、勝星金、勝ち越し金が引き上げられ、幕内優勝賞金は2,000万円に倍増します。
力士の収入を比較する際に大切なのは、月給だけでなく、過去の実績に応じた力士褒賞金や懸賞金、優勝賞金まで含めて考えることです。
十両昇進は、月給が発生するだけでなく、生活環境や相撲部屋での立場まで変わる大きな節目です。2027年の待遇改善によって、幕下以下の若手力士がどのように成長し、関取への道を切り開いていくのか。これからの大相撲では、土俵上の勝負とともに、力士を支える報酬制度の変化にも注目したいところです。