篠田建市は、一般に「司忍」という通称で報道されている人物だ。両者は別人ではなく、司忍こと篠田建市という関係にある。
警察庁が公表した指定暴力団一覧表では、六代目山口組の「代表する者」として篠田建市の名前が記載されている。つまり、単なるインターネット上の通称や噂ではなく、警察当局の公的な組織資料に登場する人物である。
六代目山口組の主たる事務所は兵庫県神戸市灘区に置かれている。組織の代表者として公的資料に記載されることと、報道で「組長」と呼ばれることは、同じ人物の立場を異なる表現で説明しているものだ。
なお、篠田建市の生い立ちや家族関係など、私生活に関する情報は、公的な組織資料から確認できる情報とは区別する必要がある。人物像を理解するうえで、まず押さえるべきなのは、六代目山口組の歴代トップと現在の組織構造における位置づけである。
【篠田建市の経歴】弘道会から六代目山口組組長への歩み

篠田建市の経歴を理解するうえで重要なのが、名古屋を拠点とする弘道会との関係だ。
研究論文や当時の報道によると、篠田は弘道会を基盤に組織内で地位を高め、2005年に六代目山口組の組長に就任した。弘道会出身者が山口組の最高幹部に就いたことは、その後の組織運営や人事を考えるうえでも大きな転換点となった。
2005年には高山清司が弘道会の後継者となり、山口組の若頭に就任した。この人事によって、弘道会との結びつきは山口組の中枢において一層強まったと分析されている。
この組織運営の変化は、後の2015年の分裂を理解する際にも欠かせない背景である。
六代目山口組をめぐる主な出来事と関係者
以下は、篠田建市と六代目山口組、分裂後の関連組織、警察当局の規制を時系列で整理したものだ。
この年表で注目したいのは、組織の分裂が一度の出来事で終わらず、その後も複数の組織の離脱や対立、行政上の規制につながっていることだ。
警察庁の2026年4月公表資料でも、分裂後の各団体の動向や特定抗争指定の経緯が整理されている。
【2015年の山口組分裂】神戸山口組との対立はなぜ続いたのか
2015年8月末、六代目山口組から複数の直系組長が離脱し、神戸山口組が結成された。警察庁の資料によれば、離脱した直系組長は13人で、神戸山口組は山健組の井上邦雄を中心に発足した。
分裂の背景として当時の報道で指摘されたのは、弘道会を重視する組織運営や上納金制度などをめぐる不満だった。もちろん、内部の意思決定や離脱の動機は一つではないが、組織内の権力構造をめぐる対立が大きな背景にあったとされる。
分裂後、双方の組織に関係する事件が各地で発生した。2016年3月には警察庁が両団体を対立抗争状態と判断し、兵庫県公安委員会は同年4月、神戸山口組を暴力団対策法に基づく指定暴力団とした。
さらに2017年4月には神戸山口組の傘下組織の一部が離脱し、任侠山口組を結成した。同組織は2020年2月に絆會へ名称を変更している。また、池田組も2020年7月に神戸山口組からの離脱を表明し、独立した指定暴力団となった。
こうして、当初の六代目山口組と神戸山口組の対立は、複数の組織が関係する構図へと変化していった。
分裂後の関係を整理すると
- 六代目山口組: 篠田建市が代表者として公的資料に記載される組織。
- 神戸山口組: 2015年の分裂で結成された組織。井上邦雄が組長として公表資料に記載されている。
- 任侠山口組・絆會: 神戸山口組からの離脱を経て形成された別組織。
- 池田組: 神戸山口組から離脱し、独立した指定暴力団となった組織。
重要なのは、これらの組織が現在も一つの団体として活動しているわけではないという点だ。名称に「山口組」が含まれていても、それぞれ別個の組織として警察当局の資料に掲載されている。
【2026年6月の最新動向】兵庫県公安委員会が篠田建市らに命令
2026年の篠田建市をめぐる重要な動きが、6月8日に兵庫県公安委員会から出された「称揚等禁止命令」だ。
神戸新聞の同日付報道によると、兵庫県公安委員会は特定抗争指定暴力団・六代目山口組の篠田建市組長(通称・司忍)ら3人に対し、抗争事件に関係して服役している傘下組員への出所祝い、功労金などの提供を禁止する命令を出した。
対象となった組員は、2023年12月、埼玉県八潮市にある神戸山口組傘下組長の自宅に車を衝突させ、門扉などを損壊した事件に関与した人物だ。器物損壊罪で有罪判決を受け、服役していると報じられている。
今回の命令では、金品などの報償を与えることだけでなく、組織内での昇格も禁止される。効力は対象組員の出所から5年間とされている。
称揚等禁止命令とは何か
この措置の根拠となるのは、暴力団対策法第30条の5だ。
同条は、対立抗争などに関係する暴力行為によって刑に処せられた指定暴力団員に対し、所属組織の別の組員が、その行為を称賛したり慰労したりする目的で金品などを提供することを防ぐ仕組みを定めている。
公安委員会は、報償の提供や受け取りが行われるおそれがあると認めた場合、対象者に対して禁止命令を出すことができる。命令の期間には、刑の執行終了後5年という上限が設けられている。
これは、抗争事件に関与した組員への報償を通じて暴力行為が組織内で評価される構造を抑えるための制度だ。事件を起こした個人への刑事処分だけでなく、組織内の評価や報酬の仕組みにも規制を及ぼす点に特徴がある。
2026年6月の命令が示すもの
今回の措置は、篠田建市個人の刑事責任を新たに認定したという意味ではない。暴力団対策法に基づき、組織内部での報償を防止するために出された行政上の命令である。
ここを混同すると、報道の意味を誤って理解することになる。命令の対象者、禁止された行為、根拠法令を分けて読むことが大切だ。
また、2026年6月の命令は、同年10月時点で続く特定抗争指定とは別の法的措置である。前者は特定の暴力行為に対する報償を規制するもの、後者は抗争に関係する団体の活動を警戒区域内で制限するものだ。
【2026年最新の勢力】六代目山口組の構成員数と勢力範囲
六代目山口組の規模を把握するには、警察庁が公表した構成員数と勢力範囲を確認するのが基本となる。
警察庁の「令和7年における組織犯罪の情勢」は2026年4月に公表された最新の確定値資料で、2025年末時点の六代目山口組の構成員数を約3,100人としている。
また、2026年6月4日更新の静岡県警察の資料でも、令和8年5月末時点の指定暴力団一覧において、代表者を篠田建市、構成員数を約3,100人、勢力範囲を1都1道2府40県としている。
2026年に確認できる六代目山口組の公表データ約3,100人
暴力団構成員数
準構成員等
約3,200人
構成員等の合計
約6,300人
勢力範囲
1都1道2府40県
全国の暴力団構成員に占める割合
約33.0%
構成員数は減少しているのか
長期的な推移を見ると、六代目山口組の構成員数は減少傾向にある。
警察庁の統計では、六代目山口組の構成員数は2016年末の約5,200人から、2025年末には約3,100人まで減少した。9年間で約2,100人、率にして約40%の減少となる。
同期間、準構成員等も約6,700人から約3,200人に減っている。構成員だけでなく、組織と関係を持つ周辺層も縮小していることが分かる。
さらに全国の暴力団構成員及び準構成員等の合計は、2025年末に約1万7,600人となり、暴力団対策法が施行された1992年以降で最少となった。内訳は構成員約9,400人、準構成員等約8,200人である。
勢力範囲の「1都1道2府40県」は何を意味する?
勢力範囲の数字は、組織の影響や関係する傘下組織などが確認されている地域を示す警察資料上の区分だ。
したがって、1都1道2府40県という数字を、その地域全域を組織が支配しているという意味に読み替えるのは正確ではない。各都道府県内のどの地域にどの程度の組織的な関係があるかは、別の問題である。
また、構成員数と準構成員等の数を合算した数字も区別しなければならない。約3,100人は構成員の概数であり、約6,300人は準構成員等を含めた規模だ。
ネット上の記事で「山口組の人数」とだけ書かれている場合は、どちらの数字を指しているのか、統計の基準日とともに確認したい。
【2026年10月31日現在】特定抗争指定暴力団と山口組の現在
2026年の山口組情勢を理解するうえで、特に重要なのが「特定抗争指定暴力団等」という制度だ。
これは通常の指定暴力団の指定とは異なる追加的な規制である。指定暴力団同士の対立抗争によって市民の生命や身体に重大な危害が及ぶおそれがある場合、公安委員会が警戒区域を定め、組織の活動を制限する。
六代目山口組と神戸山口組は2020年1月に特定抗争指定暴力団等に指定された。その後、池田組とは2022年12月、絆會とは2024年6月にそれぞれ追加の指定を受けた。
2026年9月に起きた大きな変化
2026年9月には、六代目山口組と他の分裂関連組織との特定抗争指定に変化があった。
まず9月8日、六代目山口組と池田組との間の特定抗争指定が解除された。両組織間で抗争事件が約2年間発生していなかったことなどが判断材料となった。
続いて9月21日には、六代目山口組と絆會との間の指定も解除された。こちらも一定期間抗争事件が発生していなかったことなどを踏まえた措置だった。
ただし、これは六代目山口組そのものが指定暴力団ではなくなったという意味ではない。解除されたのは、あくまで特定の相手組織との間に適用されていた特定抗争指定である。
神戸山口組との指定は27回目の延長
2026年9月17日、兵庫県公安委員会は六代目山口組と神戸山口組に対する特定抗争指定の期限を3カ月延長することを決定した。
その後、10月5日に官報で公示され、指定は10月7日から2027年1月6日まで継続することになった。2020年の指定開始から数えて27回目の延長である。
指定対象となるのは、兵庫県だけではない。9府県17市町が警戒区域に設定されており、兵庫県内では神戸市、姫路市、尼崎市、高砂市、加古郡稲美町が対象となっている。
警戒区域内では、事務所の使用や新設、対立する組員へのつきまとい、おおむね5人以上での集合などが規制される。
神戸新聞が報じた兵庫県警暴力団対策課の説明では、指定延長の理由は、対立抗争が終結したとは認められず、両組織の動向などを総合的に判断したためだという。
現在の状況を整理すると
六代目山口組 × 神戸山口組
2027年1月6日まで。27回目の延長。
六代目山口組 × 池田組
2026年9月8日に解除。
六代目山口組 × 絆會
2026年9月21日に解除。
この整理から分かるのは、2015年の分裂をめぐる対立が一律に解消されたわけではないということだ。池田組や絆會との指定は解除された一方、分裂の発端となった神戸山口組との指定は継続している。
指定解除は対立が完全になくなったことを意味するものでもない。警察当局による警戒や捜査は、解除後も必要に応じて続けられる。
【プロの結論】篠田建市の現在を理解するための3つの判断基準
篠田建市の現在を理解するには、人物の肩書だけでなく、組織の規模、分裂後の関係、法的規制という3つの視点を組み合わせる必要がある。
第一に、公的な代表者名と報道上の通称を混同しないこと。司忍と篠田建市は同一人物であり、警察庁の指定暴力団一覧では篠田建市の名前が使われている。
第二に、組織の規模は構成員数だけで判断しないこと。構成員と準構成員等では統計上の意味が異なる。2025年末の六代目山口組は、構成員約3,100人、準構成員等約3,200人という内訳である。
第三に、指定暴力団と特定抗争指定暴力団等を区別すること。指定暴力団としての位置づけが続いていても、特定の対立相手との抗争指定が解除されることはある。2026年9月の池田組・絆會との指定解除が、その具体例だ。
警察庁の資料では、暴力団の総勢力は縮小している一方、活動の不透明化や資金獲得活動の多様化も指摘されている。単純な人数の減少だけでは、組織犯罪の実態をすべて把握できないという課題が残る。
【篠田建市の現在】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:篠田建市と司忍は同一人物ですか?
A1:同一人物です。篠田建市が公的資料に記載される名前で、司忍は報道などで使われる通称です。
Q2:篠田建市は2026年現在も六代目山口組の組長ですか?
A2:2026年に公表された警察庁の指定暴力団一覧では、篠田建市が六代目山口組の代表者として記載されています。6月の報道でも組長として扱われています。
Q3:六代目山口組の構成員は何人ですか?
A3:警察庁の2025年末統計では約3,100人です。準構成員等の約3,200人を加えると、合計約6,300人となります。
Q4:2026年6月の称揚等禁止命令とは何ですか?
A4:兵庫県公安委員会が6月8日に篠田建市ら3人に出した命令です。抗争事件に関係して服役中の傘下組員への出所祝い、功労金などの提供や組織内での昇格を禁止する措置です。
Q5:山口組と神戸山口組の抗争指定は解除されましたか?
A5:2026年10月31日時点では解除されていません。10月5日に27回目の延長が公示され、2027年1月6日まで継続しています。
Q6:池田組や絆會との特定抗争指定も続いていますか?
A6:2026年9月に解除されました。池田組との指定は9月8日、絆會との指定は9月21日に解除されています。ただし、神戸山口組との指定は引き続き有効です。
まとめ:篠田建市の2026年最新情報と今後の注目点
篠田建市(司忍)は、六代目山口組の代表者として警察庁の公的資料に記載されている人物だ。2005年の六代目組長就任から、2015年の分裂、神戸山口組との長期的な対立を経て、2026年も組織をめぐる法的規制が続いている。
2026年6月8日には兵庫県公安委員会が篠田建市ら3人に称揚等禁止命令を発出。さらに9月には池田組と絆會との特定抗争指定が解除された一方、神戸山口組との指定は10月に27回目の延長となった。
組織の構成員数は約3,100人まで減少しているが、勢力範囲は1都1道2府40県と公表されている。全国的な暴力団勢力の縮小と、特定の組織間で続く対立は、分けて理解しなければならない。
今後の注目点は、2027年1月6日に期限を迎える神戸山口組との特定抗争指定の扱い、篠田建市の代表者としての位置づけ、そして警察当局が公表する構成員数や組織情勢の変化である。肩書や過去の報道だけで判断せず、警察庁の最新統計と各公安委員会の公示を照らし合わせることが、正確な情勢把握につながる。