会社の結婚祝い金は、結婚した従業員に対して勤務先が支給する慶弔見舞金の一種です。2026年現在、企業によって支給額や対象となる雇用形態、勤続年数などの条件は異なりますが、労務行政研究所の2024年調査では、本人の初婚に対する会社からの結婚祝い金の平均額は3万9,562円、支給企業の割合は93.9%でした。
ただし、すべての会社に支給義務があるわけではありません。正社員だけでなく契約社員やパートも対象になるのか、勤続年数によって金額が変わるのか、申請しなければ受け取れないのかといった条件は、勤務先の就業規則や慶弔見舞金支給規程によって決まります。加えて、一定の条件を満たす結婚祝い金は所得税が非課税になる一方、金額や支給方法によっては給与所得として扱われる可能性もあります。
【2026年最新】会社の結婚祝い金の相場はいくら?平均支給額を調査

会社からもらえる結婚祝い金は、一般的に1万~5万円程度が目安です。なかでも3万円前後を設定する企業が多く、企業規模や福利厚生制度の内容によっては5万円以上を支給するケースもあります。
会社の結婚祝い金を調べるうえで参考になるのが、労務行政研究所が2024年に実施した「慶弔見舞金、慶弔休暇に関する実態調査」です。
労務行政研究所の調査で判明した平均額
同調査は2024年4月10日から6月17日まで実施され、全国の上場企業3,753社と上場企業に匹敵する非上場企業1,371社、合計5,124社を対象としています。有効回答は320社でした。
社員本人の初婚に対する結婚祝い金について、会社からの支給率は93.9%。平均支給額は3万9,562円となっています。
一方、従業員の共済会から支給される場合は、支給率92.2%、平均額3万1,617円でした。
注目したいのは、会社と共済会の両方から祝い金が支給される企業では、合計平均額が6万8,667円に達している点です。会社の制度だけでなく、共済会の給付も確認すると受給総額が変わる可能性があります。
会社の結婚祝い金はいくらなら一般的?
調査結果や2025年の中小企業向け調査を踏まえると、金額の目安は次のように整理できます。
- 1万円未満:比較的少額の祝い金を設定する企業。
- 1万~2万円:一般的な福利厚生制度の一つの水準。
- 3万円:多くの企業で見られる代表的な支給水準。
- 4万~5万円:平均額に近い、または平均を上回る水準。
- 10万円以上:高額な制度を設けている企業などに見られる水準。税務上の取り扱いにも注意が必要。
ここで注意したいのは、これらは法律で決められた金額ではないことです。会社が支給額を一律3万円と定めても、勤続年数に応じて段階的に設定しても、制度設計は企業ごとに異なります。
2026年に確認できる最新の中小企業調査
2026年7月9日に株式会社エフアンドエムが公表した「2025年慶弔見舞金制度の実態調査」も参考になります。
この調査は2025年10月1日から31日まで実施され、同社の会員企業2,663社が回答しました。従業員10人以下の企業が667社と最も多く、製造業、建設業、卸売業・小売業などが含まれています。
結果によると、何らかの慶弔見舞金制度を導入している企業は約8割。一方、規程として整備している企業は5割強にとどまりました。
結婚祝い金では2万~3万円台が最も多い支給水準です。2023年の同様の調査と比べても、制度導入率や支給水準に大きな変化は見られませんでした。
つまり、2026年時点では結婚祝い金は一定程度普及しているものの、特に中小企業では制度の明文化や従業員への周知に課題が残っています。
【企業別・勤続年数別】結婚祝い金の支給額と制度の違いを比較
会社の結婚祝い金を比較するときは、単純な支給金額だけでなく、会社と共済会のどちらが支給するのか、勤続年数によって金額が変わるのかも確認する必要があります。
労務行政研究所の2024年調査では、会社が勤続年数によって支給額を変えている割合は53.3%でした。一方、共済会では68.2%が勤続年数にかかわらず一律の金額を支給しています。
会社と共済会の結婚祝い金を比較
| 比較項目 | 会社からの支給 | 共済会からの支給 |
|---|---|---|
| 初婚の支給率 | 93.9% | 92.2% |
| 平均支給額 | 39,562円 | 31,617円 |
| 中央値 | 30,000円 | 30,000円 |
| 勤続年数による金額設定 | 53.3% | 31.8% |
| 一律金額での支給 | 46.7% | 68.2% |
| 両方から支給される場合の合計平均 | 68,667円 |
※労務行政研究所「慶弔見舞金、慶弔休暇に関する実態調査」(2024年)。支給率・金額は初婚の場合。合計平均は会社と共済会の両方から支給される企業を対象とした集計です。
この比較から分かるのは、会社と共済会では支給額の決め方に違いがあることです。会社は勤続年数を評価する傾向があり、共済会は加入者に一定額を支給する仕組みを採用するケースが目立ちます。
勤続1年・3年・5年で結婚祝い金はいくら変わる?
勤続年数によって支給額を変える会社では、長く勤務している従業員ほど金額が高くなる傾向があります。
同調査で勤続年数別の平均支給額を比較すると、次の結果になりました。
- 勤続1年:会社27,228円、共済会24,059円。
- 勤続3年:会社38,322円、共済会29,118円。
- 勤続5年:会社45,753円、共済会37,647円。
会社からの支給額は、勤続1年と5年で18,525円の差があります。共済会でも同じ期間で13,588円の差が生じています。
ただし、これは勤続年数別に金額を設定している企業の平均値です。すべての会社で5年勤務すれば約4万5,000円を受け取れるという意味ではありません。
J-Net21が紹介する結婚祝い金の規程例
中小企業基盤整備機構が運営するJ-Net21では、慶弔見舞金支給規程のモデルとして、次のような金額設定を紹介しています。
- 勤続1年未満:1万円。
- 勤続1年以上3年未満:2万円。
- 勤続3年以上:3万円。
これはあくまで規程作成の参考例であり、全国の企業に適用される統一基準ではありません。
同じ資料では、満6カ月以上勤務する正社員を対象とし、契約社員やアルバイト、パートなどを対象外とする規程例も紹介されています。雇用形態や勤続期間の条件が会社によって違う理由が、こうした制度設計にあります。
企業別の比較では支給額だけで判断できない
会社名ごとの祝い金ランキングを探す人もいますが、企業全体を網羅した公的な会社別ランキングは確認できません。公表されている調査の多くは、企業を集計した平均額や支給率を示すものです。
そのため、勤務先を比較する場合は、次の関係を整理すると実態を把握しやすくなります。
- 会社:企業の慶弔見舞金規程に基づいて支給する。
- 従業員共済会:会員向けの給付制度として支給する。
- 労働組合:独自の共済・慶弔給付制度を設けている場合がある。
- 健康保険組合など:独自の給付制度が存在する場合は、会社の祝い金とは別に確認する。
会社からの支給が3万円でも、共済会から別途給付があれば受け取れる金額は変わります。人事部だけでなく、共済会や労働組合の制度も確認することが大切です。
【正社員・契約社員・パート】結婚祝い金は誰が受け取れる?支給条件を解説
結婚祝い金を受け取れるかどうかは、雇用形態だけで決まるものではありません。正社員、契約社員、パート、アルバイトなど、それぞれの対象範囲を会社の慶弔見舞金支給規程で確認する必要があります。
正社員は結婚祝い金の対象になりやすい
正社員は、会社の慶弔見舞金制度における基本的な支給対象として設定されることが多い雇用区分です。
ただし、正社員なら必ず受給できるわけではありません。次のような条件が設けられている場合があります。
- 入社後6カ月以上または1年以上勤務していること。
- 婚姻届の提出など、規程が定める結婚の事実が確認できること。
- 会社が定める申請期限内に手続きを済ませること。
- 支給対象となる日に在籍していること。
試用期間中や休職中、退職予定者などの扱いも会社によって異なります。婚姻日と支給日のどちらを基準にするのかも確認しておきましょう。
契約社員やパート・アルバイトも対象になる?
契約社員やパート、アルバイトは、会社の規程によって支給対象となる場合と対象外となる場合があります。
従来の慶弔見舞金規程では、正社員のみを対象とする例も見られました。しかし、雇用形態によって福利厚生の取り扱いを変える場合には、同一労働同一賃金の観点からも検討が必要です。
パートタイム・有期雇用労働法第8条では、正社員と短時間・有期雇用労働者との間で、基本給や賞与その他の待遇について不合理な待遇差を設けることを禁止しています。
ここでいう待遇には福利厚生も含まれます。結婚祝い金についても、制度の目的や性質に照らして待遇差の合理性を検討する必要があります。
例えば、同じ職務内容や責任を担い、配置変更の範囲も同じ従業員について、単にパートだからという理由だけで一律に対象外とする場合には問題が生じる可能性があります。
一方、雇用形態による待遇差がすべて禁止されているわけではありません。職務内容、責任、配置変更の範囲、その他の事情を考慮して判断されます。
2026年10月の同一労働同一賃金ガイドライン改正にも注目
2026年10月1日には、厚生労働省の同一労働同一賃金ガイドラインなどが改正・適用されました。
改正では、パートタイム・有期雇用労働者の待遇改善を目的として、雇い入れ時の労働条件明示事項や雇用管理指針などが見直されています。
また、非正規雇用の従業員は、正社員との待遇差の内容や理由について会社に説明を求めることができます。会社は、その説明を求めたことを理由に不利益な取り扱いをすることもできません。
自分が結婚祝い金の対象外とされている場合は、制度の適用範囲だけでなく、待遇差を設けている理由について人事担当者に確認する方法があります。
再婚や夫婦ともに同じ会社で働いている場合
再婚の場合に結婚祝い金が支給されるかどうかも、会社の規程によって異なります。
労務行政研究所の2024年調査では、再婚の場合にも会社から祝い金を支給する企業は71.7%でした。支給する企業のうち、初婚と同額を支給するケースが72.2%を占めています。
一方、初婚と異なる金額を設定する企業では、初婚の半額程度とするケースも見られます。
また、夫婦ともに同じ会社で働いている場合、双方に支給するのか、世帯単位で1回だけ支給するのかも確認が必要です。二人とも従業員だからといって、必ず2人分が支給されるとは限りません。
【支給義務はある?】就業規則と慶弔見舞金制度の法的な関係
会社には、従業員の結婚祝い金を必ず支給しなければならないという一般的な法律上の義務はありません。
結婚祝い金は、法律で全国一律の支給額や支給対象が定められた給付ではなく、企業が福利厚生の一環として導入する制度です。
ただし、会社が支給制度を設け、就業規則や慶弔見舞金支給規程などで条件を定めて周知している場合は話が変わります。
会社に支給義務が生じるケース
J-Net21の「慶弔見舞金支給規程」では、社内規程などに特段の定めがない場合、慶弔見舞金には法的な支払い義務がないと説明しています。
一方、会社が規程を設けて従業員に周知すると、定められた条件に従って支給する義務が生じます。
例えば、規程に「勤続1年以上の社員が結婚した場合、3万円を支給する」と記載されているとします。この条件を満たした従業員に対し、会社が経営者の判断だけで支給を拒否することは問題になります。
制度を設けた以上、特定の従業員だけに恣意的な運用をすることは避けなければなりません。
就業規則に結婚祝い金を記載する必要はある?
厚生労働省によると、労働基準法第89条では、常時10人以上の労働者を使用する事業場に就業規則の作成・届出を義務付けています。
就業規則には必ず記載する事項のほか、制度を設ける場合に記載が必要な事項があります。臨時の賃金等や、事業場の労働者すべてに適用される定めなどが該当します。
結婚祝い金のような慶弔見舞金制度については、就業規則本体に記載する方法のほか、別途、慶弔見舞金支給規程を設ける方法もあります。
重要なのは、支給対象や金額、申請方法などを明確にし、従業員が内容を確認できる状態にすることです。
規程に記載されているか確認すべき項目
- 支給対象となる従業員の範囲。
- 正社員・契約社員・パートの適用条件。
- 勤続年数の計算方法。
- 結婚祝い金の金額と支給基準。
- 初婚・再婚の取り扱い。
- 申請期限と必要書類。
- 支給時期と支給方法。
- 退職や休職などの例外的な取り扱い。
なお、会社が一度導入した福利厚生制度を減額・廃止する場合には、労働条件の不利益変更に当たる可能性があります。会社側が自由に変更できるとは限らず、変更の合理性や周知などが問題になります。
【申請方法・必要書類】会社の結婚祝い金を受け取るまでの流れ
結婚祝い金は、会社によって自動的に支給される場合と、従業員本人が申請しなければ受け取れない場合があります。制度があるにもかかわらず、申請を忘れて受給できないケースを防ぐため、結婚が決まったら早めに人事・総務部門へ確認しましょう。
結婚祝い金の申請に必要な書類
一般的には、次のような書類が申請時に求められることがあります。
- 慶弔見舞金申請書:会社指定の申請書に氏名、所属部署、婚姻日などを記入する。
- 婚姻を確認できる書類:婚姻届受理証明書や戸籍関係書類など、会社が認める証明資料。
- 結婚式の案内状:会社の規程や運用によって、結婚の事実を確認する資料として使用する場合がある。
- 振込先情報:給与口座など、会社が指定する口座情報。
J-Net21でも、結婚祝い金の申請時には、結婚の事実を確認できる書類を提出することが規程例として紹介されています。招待状や案内状などが確認資料として挙げられています。
ただし、必要書類は会社ごとに異なります。戸籍関係書類などプライバシー性の高い資料を提出する場合は、必要な情報や代替書類があるかを事前に確認すると安心です。
申請から受給までの基本的な手順
STEP1:社内規程を確認する
就業規則や慶弔見舞金支給規程を確認し、対象者、支給額、婚姻日の定義、申請期限を把握します。
STEP2:人事・総務部門へ連絡する
会社指定の申請窓口に結婚することを伝え、必要書類や申請方法を確認します。
STEP3:必要書類を提出する
申請書と婚姻を確認できる資料を用意し、社内システムや担当部署を通じて提出します。
STEP4:審査・確認を受ける
会社側が在籍状況や勤続年数、婚姻の事実、支給条件などを確認します。
STEP5:祝い金を受け取る
承認後、給与口座への振り込みや現金、商品券など、会社が定める方法で支給されます。
申請期限を過ぎたら受け取れない?
会社が申請期限を設けている場合、期限を過ぎると受給できなくなる可能性があります。
ただし、全国共通の法定申請期限があるわけではありません。申請が遅れた場合でも、事情を説明して会社に相談する余地はあります。
特に確認したいのは、結婚祝い金の支給事由が発生した日です。婚姻届の提出日、婚姻成立日、結婚式の日など、どの日を基準にするかによって申請期限の計算が変わる場合があります。
結婚式の予定が先であっても、婚姻届を提出した時点で申請できる制度なのか、人事担当者に確認しておくと手続きがスムーズです。
【税金はかかる?】結婚祝い金の非課税条件と福利厚生費の扱い
会社から受け取る結婚祝い金は、一定の条件を満たせば所得税が課税されません。
税務上の判断で重要になるのが、国税庁の「所得税基本通達28-5」です。結婚祝い金は原則として給与等に該当するものの、社会通念上相当と認められる金額であれば課税しなくても差し支えないとされています。
国税庁の所得税基本通達28-5とは
所得税基本通達28-5では、使用者から役員または従業員に対して雇用契約などに基づき支給される結婚・出産等の祝金品について、次の考え方を示しています。
使用者から役員又は使用人に対し雇用契約等に基づいて支給される結婚、出産等の祝金品は、給与等とする。ただし、その金額が支給を受ける者の地位等に照らし、社会通念上相当と認められるものについては、課税しなくて差し支えない。
つまり、会社から受け取った祝い金がすべて非課税になるわけではありません。社会通念上相当と認められる金額かどうかが判断のポイントです。
非課税になる金額に一律の上限はある?
結婚祝い金について、国税庁が全国共通の非課税上限額を「3万円まで」「5万円まで」などと定めているわけではありません。
一般社員への支給額が1万~5万円程度であることは、企業調査の水準を考えるうえで参考になります。しかし、この金額以下なら必ず非課税になるという意味ではありません。
受給者の役職や立場、支給額、制度の内容などを踏まえ、社会通念上相当と認められるかどうかを判断します。
例えば、一般従業員に対して社内規程に基づき一律3万円を支給するケースと、特定の役員に対して慶弔祝いの名目で極めて高額な金銭を渡すケースでは、税務上の判断が異なる可能性があります。
会社側は福利厚生費として経費計上できる?
会社側の法人税の取り扱いについては、国税庁のタックスアンサー「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」が参考になります。
国税庁は、従業員やその親族の祝い事・不幸などに際して、一定の基準に従って支給する金品について、福利厚生費に該当するものとして説明しています。結婚祝い、出産祝い、香典、病気見舞いなどが例として挙げられています。
そのため、慶弔見舞金支給規程を整備し、従業員に対して公平かつ一定の基準で支給することは、税務処理の面でも重要です。
一方、規程がなく経営者の判断だけで特定の従業員に高額な金銭を渡す場合などは、福利厚生費として認められず、給与や交際費など別の区分で処理すべき可能性があります。
個人の所得税と会社の法人税は別々に考える
結婚祝い金の税務では、従業員本人に所得税がかかるかという問題と、会社が支出を福利厚生費として処理できるかという問題を区別する必要があります。
- 従業員側:所得税基本通達28-5に基づき、社会通念上相当な祝い金は課税しない取り扱いが認められる。
- 会社側:一定の基準に従った慶弔金は福利厚生費として扱われる場合がある。
どちらも慶弔見舞金制度の整備や支給額の妥当性が重要です。高額な支給や例外的な取り扱いがある場合は、税理士などの専門家に確認することが望まれます。
【2026年の実態】結婚祝い金制度がある会社とない会社の違い
2026年の結婚祝い金制度を考えるうえで注目されるのが、制度の普及率と運用の透明性の違いです。
株式会社エフアンドエムが2026年7月に公表した2025年調査では、慶弔見舞金制度を導入している中小企業は約8割でした。しかし、規程として整備している企業は5割強にとどまっています。
制度はあるのに受給条件が分からない会社もある
同調査では、社内制度は存在するものの、規程が作られていなかったり、従業員への周知が十分でなかったりする企業の実態が報告されています。
特に中小企業では、過去の慣例や経営者の判断によって支給額を決めるケースもあります。
こうした運用は柔軟に対応できる一方、従業員によって支給額が異なったり、申請方法が分からなかったりする問題につながります。
結婚祝い金は人生の節目に会社から受け取れる制度であるため、制度の存在だけでなく、支給条件や手続きが明確になっているかが重要です。
結婚祝い金の有無は転職先選びにも関係する
福利厚生は、給与や賞与とは別に企業の従業員への姿勢を確認できる要素です。
結婚祝い金だけで転職先を決める必要はありませんが、慶弔休暇や出産祝い金、育児支援制度などと合わせて比較すると、入社後の生活を具体的に考えやすくなります。
特に、求人情報に「慶弔見舞金制度あり」と記載されている場合は、結婚祝い金も含まれているのか、対象者は正社員に限られるのか、金額はいくらなのかを確認することが大切です。
会社の結婚祝い金を確認するときの判断基準
実際に勤務先の制度を評価する場合は、次の点をチェックするとよいでしょう。
- 支給金額が明確に決まっているか。
- 正社員以外の従業員にも適用されるか。
- 勤続年数による差が合理的に説明されているか。
- 申請期限や必要書類が明示されているか。
- 会社と共済会の両方から受給できるか。
- 税務上の取り扱いが適切に整理されているか。
金額が高い会社が必ずしも優れた福利厚生を提供しているとは限りません。対象者の広さや制度の透明性、実際に受給しやすい仕組みが整っているかも重要な評価ポイントです。
【結婚祝い金会社】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:会社の結婚祝い金の平均額はいくらですか?
A1:労務行政研究所の2024年調査では、社員本人の初婚に対する会社からの平均支給額は3万9,562円、中央値は3万円です。企業によって異なりますが、1万~5万円程度が一つの目安になります。
Q2:会社から結婚祝い金が出ないのは違法ですか?
A2:会社に結婚祝い金制度を設ける一般的な法的義務はありません。ただし、就業規則や慶弔見舞金支給規程で支給条件を定めている場合、条件を満たす従業員への支給義務が生じます。
Q3:契約社員やパートでも結婚祝い金をもらえますか?
A3:会社の規程によって異なります。ただし、雇用形態による待遇差はパートタイム・有期雇用労働法の対象となるため、制度の目的や職務内容などを踏まえて不合理な差がないか確認する必要があります。
Q4:勤続年数が短くても結婚祝い金はもらえますか?
A4:受給できる場合があります。勤続6カ月以上、1年以上などの条件を設ける企業もありますが、勤続期間による制限がない会社もあります。勤務先の規程を確認してください。
Q5:結婚祝い金は所得税がかかりますか?
A5:社会通念上相当と認められる金額であれば、所得税が課税されない取り扱いが認められています。国税庁の所得税基本通達28-5が根拠です。ただし、すべての金額が無条件で非課税になるわけではありません。
Q6:結婚祝い金を申請するには何が必要ですか?
A6:一般的には会社指定の慶弔見舞金申請書と、婚姻の事実を確認できる書類が必要です。婚姻届受理証明書や戸籍関係書類、招待状など、必要な資料は会社によって異なります。
Q7:夫婦ともに同じ会社で働いている場合、2人分もらえますか?
A7:会社の規程によって異なります。従業員本人それぞれに支給する制度もあれば、同一世帯につき1回だけ支給する制度もあります。申請前に確認しましょう。
Q8:再婚でも結婚祝い金はもらえますか?
A8:再婚でも支給する企業はあります。労務行政研究所の2024年調査では、会社から再婚祝い金を支給する企業は71.7%でした。ただし、初婚と同額か減額されるかは規程によって異なります。
まとめ:会社の結婚祝い金は相場・支給条件・税金を確認して受け取ろう
会社の結婚祝い金は、従業員の結婚を祝う福利厚生制度の一つです。2024年の労務行政研究所の調査では、会社からの平均支給額は3万9,562円、支給率は93.9%でした。2025年の中小企業調査でも2万~3万円台が中心となっており、2026年時点でも一定の支給水準が維持されています。
ただし、誰でも同じ金額を受け取れるわけではありません。正社員・契約社員・パートといった雇用形態、勤続年数、婚姻の条件、申請期限などによって受給できるかどうかが変わります。
また、結婚祝い金は法律で一律に支給が義務付けられているものではありませんが、会社が就業規則や慶弔見舞金支給規程で制度を定めて周知している場合は、規程に沿った支給が大切です。
税務面では、国税庁の所得税基本通達28-5により、社会通念上相当な金額であれば非課税となる取り扱いがあります。会社側も一定の基準に基づく支給であれば福利厚生費として処理できる場合があります。
受給を逃さないためには、結婚が決まった段階で就業規則や慶弔見舞金支給規程を確認し、人事・総務部門に申請方法を問い合わせることが大切です。会社と共済会の両方に制度がないかも調べておきましょう。
【プロの結論】
結婚祝い金を確認する際に最も大切なのは、金額の高さだけではなく、支給条件が明確で、雇用形態にかかわらず合理的な運用が行われているかという点です。
2026年10月には同一労働同一賃金に関するガイドラインも改正されました。企業には、福利厚生を含めた待遇の透明性がこれまで以上に求められています。
自分の勤務先の制度を確認するときは、平均額との比較だけで判断せず、支給対象、勤続条件、申請期限、税務上の扱いまで把握しておきましょう。それが、受け取れるはずの結婚祝い金を確実に受給するための第一歩です。
主な根拠資料
- 労務行政研究所「慶弔見舞金、慶弔休暇に関する実態調査」(2024年)
- 株式会社エフアンドエム「2025年慶弔見舞金制度の実態調査」(2026年7月9日公表)
- 中小企業基盤整備機構「J-Net21 慶弔見舞金支給規程」
- 厚生労働省「同一労働同一賃金ガイドライン」(2026年10月1日改正・適用)
- 厚生労働省「就業規則に記載すべき事項」
- 国税庁「所得税基本通達28-5」「No.5261 交際費等と福利厚生費との区分」