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【拳銃の正体】スカイヤーズビンガムとは?フィリピン製「コマンチ」の特徴

安曇 瑞希 安曇 瑞希 • 更新: • 公開: • 読了約 17 分
目次

- 要点1: スカイヤーズビンガムは、ナンペイ事件の凶器と推定されたフィリピン製38口径回転式拳銃。 要点2: 線条痕鑑定によって大阪の金融機関強盗事件や押収拳銃との関連が調べられたが、類似と同一性の証明は別問題。 要点3: 2026年10月現在も事件は未解決。警視庁は最大600万円の懸賞金を設け、情報提供を求めている。

【拳銃の正体】スカイヤーズビンガムとは?フィリピン製「コマンチ」の特徴

スカイヤーズビンガム

スカイヤーズ・ビンガムの正体

スカイヤーズビンガム(Skyers Bingham)は、フィリピン製の拳銃に関係するメーカー・ブランド名として知られています。ナンペイ事件では、現場に残された銃弾の鑑定結果から、このメーカーの38口径回転式拳銃が使用されたと推定されました。

2020年のFRIDAYデジタルによる事件検証記事では、スカイヤーズビンガム社製の回転式拳銃について、フィリピンの正規銃器メーカーによる製品であり、米国コルト社の製品を模した外観を持つと説明されています。

また、過去の報道では「スカイヤーズ・ビンガム・コマンチ」という名称も登場します。ただし、報道によってメーカー名と製品名の表記に違いがあるため、両者を完全に同義の名称として扱うのは適切ではありません。

なぜナンペイ事件の拳銃として注目されたのか

最大の理由は、犯行現場に残された銃弾の鑑定です。

NHKの「未解決事件」を扱った取材記事によると、事件現場から回収された弾丸は、変形が大きく、鑑定が容易ではない状態でした。それでも、残存していた線条痕や弾丸の材質など、複数の特徴を総合的に調べた結果、フィリピン製の38口径拳銃であるスカイヤーズビンガムが推定されたといいます。

この鑑定は、拳銃の種類を絞り込むだけでなく、同じ銃が過去に別の犯罪で使われていなかったかを調べる出発点にもなりました。

ただし、拳銃の種類が推定できたことと、犯人の身元や入手経路まで判明したことは別です。スカイヤーズビンガムという名称が明らかになっても、それだけで特定の人物に結びつくわけではありません。

【事件の全貌】1995年7月30日のスーパーナンペイ事件とは

スーパーナンペイ事件は、1995年7月30日、東京都八王子市大和田町のスーパーナンペイ大和田店で発生した強盗殺人事件です。

警視庁が使用している正式名称は「大和田町スーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件」。一般には「八王子スーパー強盗殺人事件」「スーパーナンペイ事件」とも呼ばれています。

3人の女性が犠牲になった事件

警視庁の公開資料によると、事件が起きたのは1995年7月30日午後9時15分ごろ。場所はスーパーナンペイ大和田店の2階事務所でした。

犠牲になったのは、次の3人です。

- 稲垣則子さん:当時47歳、パート従業員
- 矢吹恵さん:当時17歳、女子高校生アルバイト
- 前田寛美さん:当時16歳、女子高校生アルバイト

犯人は事務所にいた女性たちを拳銃で殺害し、現場から逃走しました。

事件当日は近隣の北の原公園で盆踊りが開催されていました。警視庁の記録によれば、午後9時6分ごろに終了しており、事件発生までの時間はわずかでした。

犯人は金庫を開けようとしたとみられていますが、現金を奪わずに逃走しています。この点も、事件の動機や犯行目的を考えるうえで長年注目されてきました。

事件と関連人物・物証の関係一覧

スカイヤーズビンガムをめぐる報道では、別々の時期に発生した強盗事件や、過去に拳銃を押収された人物の名前が登場します。重要なのは、それぞれの関係がどの程度まで確認されているかです。

対象 事件・人物との関係 確認状況 スカイヤーズビンガム ナンペイ事件の凶器と推定されたフィリピン製拳銃 鑑定に基づく推定 大阪厚生信用金庫深江支店 1997年の強盗事件。現場弾丸の線条痕が類似したと報道 関連捜査の報道あり 東海銀行今里支店 1999年、東成区で発生した現金輸送車襲撃事件 別事件として区別が必要 中村泰 押収拳銃のうち1丁と現場弾丸の線条痕が酷似したとの報道 事件関与の確定には至らず 武田輝夫・K・R 2009年の事情聴取と、2026年に報じられた元捜査幹部の新証言 証言・独自調査に基づく情報 警視庁 特別捜査本部による継続捜査と情報提供の呼びかけ 公式に継続中

この関係を整理すると、スカイヤーズビンガムをめぐる捜査は、単なる銃器の特定から、過去の犯罪との照合、拳銃の所有者や流通経路の追跡へと広がっていったことが分かります。

【科学捜査】線条痕鑑定で判明したことと拳銃の流通経路

線条痕とは何か

線条痕とは、発射された銃弾に残る特徴的な傷や筋状の痕跡です。拳銃の銃身内部にある特徴が弾丸に転写されるため、犯罪捜査では銃器を特定するための比較資料として利用されます。

一般に「銃の指紋」と呼ばれることもありますが、人間の指紋と同じ精度で個体を識別できると単純化することはできません。

特にナンペイ事件では、現場に残された弾丸に変形があり、鑑定に使える情報が限られていました。同じメーカーや同じ製品群の拳銃であれば、似た特徴が現れる可能性もあります。

FRIDAYデジタルの2020年の検証記事でも、線条痕が酷似しているというだけでは、同一の拳銃による発射を断定できない問題が指摘されています。

大阪の金融機関強盗事件との接点

拳銃の鑑定で注目された事件の一つが、1997年8月に発生した大阪厚生信用金庫深江支店の強盗事件です。

2026年7月30日付の新潮QUEの記事では、ナンペイ事件の弾丸と、この事件で使用された拳銃の弾丸について、警察庁科学警察研究所による鑑定で線条痕が酷似していたと報じられています。

同記事では、両事件に同一の拳銃が使われたとみられることにも触れています。ただし、線条痕の類似から捜査上の関連が浮上したことと、犯人や共犯者まで特定されたことは同じではありません。

拳銃の流通経路が特定しにくい理由

スカイヤーズビンガムが捜査上の難題となった背景には、拳銃の流通経路を追いにくいという問題がありました。

NHKの取材記事では、当時、日本国内に流入していたフィリピン製拳銃について、流通経路を隠す意図があったとする専門家の見解が紹介されています。

加えて、拳銃が犯罪に使用された後に別の人物へ渡ったり、保管場所が変わったりすれば、現在の所有者と過去の使用者を結びつけることは容易ではありません。

そのため、捜査では拳銃そのものの鑑定だけでなく、過去の押収記録、犯罪現場の遺留弾丸、所有関係など複数の情報を組み合わせる必要があります。

【関連報道の検証】中村泰と東成区の強盗事件はナンペイと関係するのか

中村泰の拳銃と線条痕をめぐる2004年の報道

スカイヤーズビンガムとナンペイ事件の関係を調べる際、名前が挙がる人物の一人が中村泰(なかむら・ひろし)です。

2004年6月16日の毎日新聞報道では、名古屋市で発生した現金輸送車襲撃事件に関連して逮捕された中村の関係先から押収された拳銃14丁のうち、1丁について、ナンペイ事件の現場に残された弾丸と線条痕が酷似していたと伝えられました。

中村は、名古屋の事件をきっかけに関係先を捜索され、東京都内や大阪市内などから複数の拳銃が押収されていました。警察庁科学警察研究所などが分析した結果、ナンペイ事件との関連が捜査対象になったという経緯です。

ただし、当時の報道も「酷似」「慎重に調べる」という段階でした。ナンペイ事件の犯人として中村が逮捕されたわけではなく、線条痕が似ていたという情報だけで事件への関与を断定することはできません。

東成区信用金庫強盗事件という情報の整理

ここでは、事件名の混同にも注意が必要です。

ナンペイ事件との関連で報道された大阪の金融機関事件には、少なくとも次の2つを区別する必要があります。

- 1997年8月:大阪厚生信用金庫深江支店の強盗事件
- 1999年7月23日:東海銀行今里支店の現金輸送車襲撃事件

後者は大阪市東成区大今里南で発生した事件で、現金輸送車の警備員が銃撃され、約4,500万円が奪われたと報道されています。

一方、前者は大阪厚生信用金庫深江支店に対する強盗事件です。両者は異なる金融機関、異なる発生時期の事件です。

したがって、「東成区信用金庫強盗事件」という呼び方は、東成区で発生した東海銀行今里支店事件と、大阪厚生信用金庫深江支店事件を混同した可能性があります。ナンペイ事件との線条痕の関連を論じる際は、1997年の信用金庫事件と1999年の東海銀行事件を分けて考える必要があります。

中村泰とスカイヤーズビンガムは同一の捜査線上にあったのか

中村泰をめぐる報道では、押収された拳銃の線条痕がナンペイ事件の弾丸と似ていたという物証上の接点がありました。

しかし、拳銃が似た特徴を持っていることと、所有者が事件現場にいたことは別の問題です。事件当時の所在、銃器の入手時期、所有者の変遷などを裏付ける証拠がなければ、犯人と結びつけることはできません。

また、2026年に報じられた中国人グループをめぐる新証言は、中村泰の2004年の報道とは別の捜査情報です。両者を一つの確定した犯人像として結びつける根拠はありません。

【2026年最新】ナンペイ事件の未解決状況と警視庁の捜査

2026年10月31日現在・未解決

2026年7月30日、事件は発生から31年を迎えました。警視庁は公式ページを更新し、事件当時の現場周辺を再現したイメージ3D動画を公開しています。

また、事件現場の靴跡から推定されるスニーカーなどの情報も公開捜査資料として掲載しています。現在も警視庁八王子警察署の特別捜査本部が情報提供を求めています。

2026年7月に報じられた新たな関連証言

2026年のナンペイ事件をめぐる報道で特に注目されたのが、元警視庁捜査一課理事官の原雄一氏による新たな調査報告です。

2026年7月30日付の新潮QUEおよびデイリー新潮の記事によると、原氏は退職後も独自に調査を続け、6月27日に報道関係者を集めて調査内容を説明しました。

その中心にあったのが、武田輝夫と中国人のK・Rという人物をめぐる証言です。

報道によると、2009年9月、警視庁などの捜査員5人が中国・大連に赴き、覚醒剤関連事件で拘束されていた武田から事情を聴きました。

武田は、かつて自分と行動を共にしていた中国人K・Rについて、ナンペイ事件に関与したグループを知っていると説明したとされています。

加えて、武田の周辺人物からも、八王子の事件に関する発言があったという証言が紹介されています。

K・Rをめぐる捜査と、その後

デイリー新潮の2026年7月の報道によると、K・Rは2013年11月にカナダから日本へ身柄を移されました。旅券法違反事件での捜査・処分を通じて、ナンペイ事件についても事情を聴く機会があったとされています。

しかし、ナンペイ事件への関与を認める供述は得られず、旅券法違反事件では執行猶予付きの判決を受け、その後カナダに戻ったと報じられています。

2026年の記事では、原氏がさらに周辺人物への聞き取りを進め、K・Rについて新たな証言を得たとしています。

ただし、ここで重要なのは、これらが元捜査幹部による独自調査と関係者の証言を基にした報道だという点です。警視庁がK・Rをナンペイ事件の犯人と公式に認定したわけではありません。本人の関与を確定する判決や公的発表も確認されていません。

2026年現在の懸賞金は最大600万円

警視庁の公式公開資料によると、2026年7月30日から2027年7月29日まで、事件の情報提供に対する懸賞金制度が実施されています。


最大600万円


情報提供に対する懸賞金の内訳

警察庁の捜査特別報奨金
上限300万円


捜査に協力する会の懸賞金
上限300万円


合計上限額

600万円



対象期間:2026年7月30日~2027年7月29日

懸賞金は情報提供者全員に一律で支払われるものではなく、検挙などへの寄与度に応じて判断されます。複数人が対象となる場合には、上限額の範囲内で分割される仕組みです。

情報提供先は警視庁八王子警察署の特別捜査本部です。

警視庁八王子警察署 大和田町スーパー事務所内けん銃使用強盗殺人事件特別捜査本部 電話:042-621-0110

事件当日の周辺での目撃情報、白色セダン型の車両に関する情報、当時の不審な人物や車両についての記憶なども、警視庁が情報提供を求めている対象です。

【よくある質問】スカイヤーズビンガムに関するFAQ

Q1:スカイヤーズビンガムとは何ですか?

A1:フィリピン製拳銃のメーカー・ブランド名として知られています。ナンペイ事件では、現場の弾丸の鑑定から38口径の回転式拳銃が凶器として推定されました。一部の過去報道では「スカイヤーズ・ビンガム・コマンチ」とも表記されています。

Q2:スカイヤーズビンガムはナンペイ事件で使用されたことが確定していますか?

A2:警察の鑑定に関する報道では、現場の銃弾からフィリピン製スカイヤーズビンガムが推定されています。ただし、犯行に使用された現物の拳銃が発見され、押収されたという意味ではありません。

Q3:線条痕鑑定で犯人が特定されたのですか?

A3:いいえ。大阪の金融機関強盗事件や中村泰の押収拳銃など、線条痕が酷似した事例は報道されていますが、それだけで犯人を特定することはできません。

Q4:中村泰がナンペイ事件の犯人なのですか?

A4:そのように確定した事実はありません。2004年に押収拳銃の線条痕が酷似していたと報じられましたが、ナンペイ事件への関与が立証されたわけではありません。

Q5:2026年現在、ナンペイ事件は解決していますか?

A5:2026年10月31日現在も未解決です。警視庁は現場周辺の3D動画を公開し、最大600万円の懸賞金を設定して情報提供を呼びかけています。

Q6:ナンペイ事件に公訴時効はありますか?

A6:ありません。2010年4月27日に成立した法改正により、殺人罪や強盗殺人罪など、死刑に当たる一定の犯罪について公訴時効が廃止されました。事件発生から31年が経過した現在も、刑事責任を追及できます。

まとめ:スカイヤーズビンガムとナンペイ事件の真相を追うために

スカイヤーズビンガムは、1995年のスーパーナンペイ事件で使用されたと推定されるフィリピン製拳銃です。その存在が明らかになったことで、警察は線条痕鑑定を通じて過去の金融機関強盗事件や押収拳銃との関連を調べてきました。

しかし、銃弾の特徴が似ていることは、必ずしも同一の拳銃や同一人物による犯行を意味しません。中村泰をめぐる2004年の報道と、武田輝夫・K・Rをめぐる2026年の新証言も、別々の情報として理解する必要があります。

2026年に入ってからは、元捜査幹部による独自調査の内容が公表され、事件の新たな側面に注目が集まりました。一方、警視庁の公式発表では犯人の逮捕には至っておらず、捜査は継続中です。

事件解決の鍵になるのは、拳銃の鑑定結果だけではありません。過去の目撃情報、当時の人間関係、拳銃の所有や移動に関する記録など、複数の証拠を結びつけることが必要です。

3人の女性が犠牲になった事件から31年。スカイヤーズビンガムという拳銃の名称の先にあるのは、今も解明されていない犯行の全容と、被害者や遺族が待ち続けている事件の解決です。

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コンテンツディレクター 安曇 瑞希
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