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桜餅の葉っぱは食べる?外す?種類・香り・歴史と関東関西の違いを徹底解説

葛西 纱英 葛西 纱英 • 更新: • 公開: • 読了約 19 分
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春の和菓子を代表する桜餅。淡いピンク色の餅と、独特の香りをまとった緑色の葉っぱが特徴ですが、食べるときに「この葉っぱは一緒に食べていいの?」「それとも外すのが正しいの?」と迷った経験がある人も多いのと考えられます。

実は、桜餅の葉っぱは食べられる食品として加工された桜の葉です。ただし、必ず食べなければならないわけではありません。葉を外すことにも和菓子ならではの理由があり、長命寺と道明寺では餅の形だけでなく、葉っぱの使い方や食感にも違いがあります。2026年現在も親しまれている桜餅の歴史をたどると、江戸時代の知恵と日本の食文化が見えてきます。

【まずは結論】桜餅の葉っぱは食べられる?食べる派・食べない派の正解

桜餅の葉っぱ

桜餅の葉っぱは、基本的に食べても問題ありません。使用されているのは、食用として収穫され、塩漬けなどの加工を施した桜の葉です。

一方で、葉っぱを外して食べることも間違いではありません。和菓子店や製法によっては、葉っぱを食べることよりも、葉から餅に移った香りを楽しむことを重視しています。

桜餅の葉っぱを食べるメリット

葉っぱを餅と一緒に食べる最大の魅力は、甘さと塩味、桜の香りが一度に味わえることです。

桜餅の餡は砂糖を使った甘い味わいが中心です。そこに塩漬けされた葉っぱの塩味が加わることで、甘さが引き締まり、味にメリハリが生まれます。

また、葉っぱには独特の香りと食感があります。柔らかく加工された葉であれば、餅と一緒にかむことで、春らしい風味をより強く感じられます。

葉っぱを食べないほうがよい場合もある

一方、葉っぱを外すことを勧める和菓子店もあります。

理由は、葉っぱの塩味や独特の風味が強くなりすぎると、餅や餡本来の繊細な味わいが分かりにくくなるためです。

全国和菓子協会も、葉を外したときに餅へ移っている香りを楽しむことを紹介しています。つまり、葉っぱそのものを食べることだけが桜餅の楽しみ方ではありません。

実際、長命寺桜もちのように、葉を外して食べることを勧める店もあります。一方、葉ごと食べることを楽しめる商品もあり、最終的には商品ごとの作り方と好みによって判断できます。

食べる・食べないに地域的な正解はある?

「関東では葉っぱを食べない」「関西では食べる」といった地域差を断定することはできません。

農林水産省の郷土料理紹介でも、大阪の桜餅について葉っぱは食べても食べなくてもよいと説明されています。東京都の桜もちの紹介でも、食べる派と食べない派に分かれることが取り上げられています。

地域による違い以上に、葉っぱの硬さや塩味、店が想定している食べ方が判断材料になります。

【葉っぱの正体】桜餅には何の葉が使われている?種類と塩漬けの秘密

桜餅を包む葉っぱは、一般的な桜の木から適当に摘み取ったものではありません。主に使用されているのは、オオシマザクラ(大島桜)という品種の葉です。

桜餅の葉っぱはオオシマザクラが主流

オオシマザクラは、伊豆諸島や伊豆半島などにゆかりのある桜の品種です。白い花を咲かせ、大きく幅のある葉を持つことが特徴です。

桜餅に使う葉として適している理由は、葉が比較的大きく、餅を包みやすいことに加え、塩漬けにすることで独特の芳香が生まれるためです。

桜餅の葉っぱの産地として特に知られているのが、静岡県賀茂郡松崎町です。

松崎町ではオオシマザクラを畑で栽培し、葉を収穫して塩漬けにする産業が発展しました。松崎町や静岡県の観光・産業紹介によると、同町は国内の桜葉需要の約7割を供給する産地として知られています。

桜餅を食べるときに感じるあの香りは、江戸時代から続く和菓子文化だけでなく、伊豆の生産者が受け継いできた農業にも支えられています。

なぜ桜餅の葉っぱは塩漬けにするのか

桜の葉を塩漬けにする理由は、大きく分けて香り、保存性、食感の3つです。

1つ目は香りを引き出すこと。

生のオオシマザクラの葉には、桜餅で感じるような強い香りはほとんどありません。塩漬けして熟成させる過程で葉の組織に変化が起こり、桜餅特有の香りが生まれます。

2つ目は保存性を高めること。

塩には食品の保存性を高める働きがあります。収穫した葉を塩漬けにすることで、季節に収穫した葉を加工・保管し、年間を通じて和菓子の原料として利用しやすくなります。

3つ目は葉を扱いやすくすること。

加工と熟成によって葉の状態が変わり、餅を包む素材として利用しやすくなります。塩漬けの後には、商品に合わせて塩抜きや水分調整が行われます。

桜餅の香りの正体はクマリン

桜餅を口に近づけたときに感じる、甘く独特な香り。その中心となる芳香成分がクマリンです。

クマリンは、オオシマザクラの葉を塩漬けにして熟成させる過程で生じる香り成分です。生の葉では香りが目立たず、加工によって桜餅らしい芳香が引き出されます。

静岡県公式の食文化紹介でも、松崎町の桜葉漬けについて、塩を加えて5〜6か月ほど熟成させる製法と、クマリンが香りの正体であることが紹介されています。

つまり、桜餅の葉っぱは単なる飾りではありません。葉そのものが持つ香りを餅に移し、和菓子全体の風味を完成させる役割を担っているのです。

葉っぱは餅の乾燥を防ぐ役割もある

桜餅の葉っぱには、香り以外にも実用的な意味があります。

餅の表面を葉で包むことで、空気に直接触れる部分を減らし、乾燥を抑える働きがあります。また、葉っぱが餅に密着することで、香りも移りやすくなります。

このように、桜餅の葉っぱは香り付け、乾燥防止、見た目の演出という複数の役割を持っています。

【歴史を解説】桜餅は誰が考案した?山本新六と長命寺の誕生秘話

現在の桜餅の原型は、江戸時代に生まれたとされています。その誕生に関係する人物が、長命寺の門前で商いを始めた山本新六です。

1717年、江戸・隅田川沿いで誕生

桜餅の発祥は、享保2年(1717年)と伝えられています。

当時の江戸では、隅田川沿いの堤が桜の名所として親しまれていました。徳川吉宗の時代に桜の植樹が進み、花見客が集まる場所として知られるようになったのです。

長命寺の門番を務めていた山本新六は、桜の葉が大量に落ちることに着目しました。その葉を有効活用できないかと考え、塩漬けにした葉で餅を包む菓子を考案したと伝わっています。

当初から葉っぱと餅を組み合わせた形で売り出したことが、桜餅の誕生につながりました。

長命寺の門前で販売され、江戸名物へ

山本新六が考案した桜餅は、長命寺の門前で販売され、花見客の間で人気を集めました。

小麦粉を使った薄い皮でこし餡を包み、その周囲を塩漬けした桜の葉で巻くという構造は、現在の関東風桜餅にも受け継がれています。

桜の名所で花を眺めながら、桜の香りをまとった菓子を食べる。この体験そのものが、江戸の人々に受け入れられた理由の一つだったと考えられます。

現在も東京都墨田区向島には長命寺桜もちの店があり、創業の歴史を伝えています。

関東の桜餅から関西の道明寺へ

桜餅は江戸の名物として広まり、その後、関西にも伝わっていきました。

関西では、もともと道明寺粉を使った餅菓子の食文化があり、桜餅もその地域の製法と結び付いて独自の形に発展しました。

農林水産省の郷土料理資料では、関東の小麦粉を使った薄い皮の桜餅と、関西の道明寺粉を使った桜餅が紹介されています。

同じ桜餅という名前でも、地域の食材や製法によって姿が変わっていったのです。

【徹底比較】長命寺桜餅と道明寺桜餅の違い!葉っぱにも特徴がある?

桜餅には大きく分けて関東風の長命寺と、関西風の道明寺があります。両者の違いは餅の生地だけではありません。食感や葉っぱとの組み合わせにも、それぞれの特徴があります。

長命寺桜餅は薄い皮で餡を包む関東風

長命寺桜餅は、小麦粉などを使った生地を薄く焼き、こし餡を包んだ和菓子です。

見た目はクレープに似ており、薄い生地と餡の組み合わせが特徴です。

東京都墨田区の長命寺桜もちでは、餅を複数枚の桜葉で包むスタイルが知られています。一般的な桜餅の葉が1枚であるのに対し、2〜3枚を使うことも特徴の一つです。

葉っぱを外して食べることで、薄い生地と餡、そこに移った桜の香りを楽しめます。

道明寺桜餅はもち米の粒感が特徴の関西風

道明寺桜餅は、もち米を蒸して乾燥させ、粗く挽いた道明寺粉を使って作ります。

道明寺粉は大阪府藤井寺市にある道明寺に由来する食材です。農林水産省の紹介によると、1000年以上前から保存食として利用されてきた歴史があります。

道明寺粉を使った生地は、もち米ならではの粒感と、もっちりとした食感が特徴です。餡を包んだ俵形や丸形のものが一般的です。

関西風では、柔らかい葉っぱと餅を一緒に食べる楽しみ方もあります。ただし、葉の硬さや食べ方は店ごとに異なるため、関西風だから必ず葉まで食べるという決まりはありません。

長命寺と道明寺の比較表

比較項目 長命寺桜餅(関東風) 道明寺桜餅(関西風)
発祥・由来 江戸・長命寺の門前 道明寺粉を使う関西の食文化
主な生地 小麦粉などを使った薄い焼き皮 もち米を原料とする道明寺粉
形状 クレープ状の皮で餡を包む 粒感のある餅で餡を包む
食感 薄く、しっとりした皮 もちもちとした粒感
桜の葉 複数枚を使用する商品もある 塩漬けした葉で包む
葉っぱの食べ方 外して食べることを勧める店もある 葉ごと楽しめる商品もある
主な地域 東京を中心とした関東 大阪・京都を中心とした関西
共通点 餡を使い、桜の葉の塩漬けで香りを添える

この比較から分かるように、両者は生地の製法が大きく異なりますが、桜の葉を使って香りを付ける点は共通しています。

関東と関西のどちらが正統ということではなく、江戸から広がった桜餅が、それぞれの地域の食文化と融合して発展した結果です。

【葉っぱを外す理由】桜餅の正しい食べ方と柏餅との違い

桜餅の葉っぱを外して食べる人がいるのは、単なる好みだけではありません。和菓子としての味の設計や、葉っぱの状態にも理由があります。

理由1:餅と餡の本来の風味を楽しむため

桜餅は、餅の甘さと餡の風味、桜葉から移った香りのバランスを楽しむ菓子です。

葉っぱを一緒に食べると、塩味や葉特有の風味が加わります。これを好む人もいますが、葉の存在感が強くなり、餅や餡の味が分かりにくくなる場合もあります。

葉っぱを外して食べれば、餅に移った桜の香りを残しながら、生地と餡の味を中心に楽しめます。

理由2:葉っぱが硬く、口当たりが悪い場合がある

桜餅の葉っぱは、すべて同じ柔らかさではありません。

葉の大きさや成熟度、加工方法、塩漬けの状態によって食感が変わります。葉脈や葉柄が硬く感じられる商品もあり、その場合は無理に食べる必要はありません。

特に葉が厚いものや、複数枚重ねて巻かれているものは、餅との食感の違いが気になることがあります。

理由3:塩味が強く感じられる場合がある

桜葉は塩漬けされた食品です。製造時に塩抜きや水分調整が行われますが、商品によって塩味の強さは異なります。

甘い餡と塩味の組み合わせを好む人には魅力ですが、塩気が苦手な人には葉っぱを外したほうが食べやすい場合もあります。

桜餅の葉っぱを外す正しい食べ方

葉っぱを外す場合は、無理に餅から引き剥がさず、端からゆっくり剥がすのがおすすめです。

餅が葉にくっついている場合は、葉を少しずつ動かしながら剥がすと、生地が崩れにくくなります。

葉を外した後は、餅と餡をそのまま味わいます。葉の香りはすでに餅へ移っているため、桜餅らしい風味がなくなるわけではありません。

反対に葉ごと食べる場合は、葉の硬い部分が気にならないか確認しながら、少しずつ食べるとよいでしょう。

桜餅と柏餅の葉っぱは何が違う?

桜餅と柏餅は、どちらも葉っぱで餅を包む和菓子ですが、葉を使う目的や食べ方には違いがあります。

桜餅には主にオオシマザクラの葉が使われ、塩漬けによって香りを引き出します。葉っぱを食べることもできます。

一方、柏餅には柏の葉が使われます。柏の葉は餅を包むためのもので、一般的には食べずに外します。

柏餅の葉には、香りや見た目だけでなく、縁起物としての意味もあります。柏の木は新芽が出るまで古い葉が落ちにくいことから、家系が続くことや子孫繁栄を象徴するとされています。

農林水産省の食文化紹介でも、桜餅は春の和菓子、柏餅は端午の節句に食べる菓子として、それぞれ異なる背景が紹介されています。

【プロの結論】桜餅の葉っぱはどう食べる?迷ったときの判断基準

桜餅の葉っぱについて迷ったときは、「食べるのが正しいか、外すのが正しいか」という二択で考える必要はありません。

大切なのは、葉っぱが桜餅の味わいをどのように構成しているかを知り、自分が楽しめる方法を選ぶことです。

葉っぱを食べるのがおすすめの人

  • 甘さと塩味の組み合わせが好きな人
  • 桜葉独特の香りをしっかり楽しみたい人
  • 柔らかい葉の食感が好きな人
  • 餅と葉を一緒に食べる一体感を楽しみたい人

葉っぱを外すのがおすすめの人

  • 餅や餡本来の味を中心に楽しみたい人
  • 葉の塩味や苦みが苦手な人
  • 葉脈や葉柄の硬い食感が気になる人
  • 桜の香りは好きでも、葉そのものを食べるのは好まない人

桜餅の葉っぱについて知っておきたい3つの誤解

誤解1:葉っぱは食べなければならない。

食べても問題ありませんが、食べる義務はありません。農林水産省の紹介でも、食べるかどうかは好みで選べるとされています。

誤解2:葉っぱを外すと桜の香りがなくなる。

これは正しくありません。塩漬けした葉から餅に香りが移っているため、葉を外しても桜餅特有の風味を楽しめます。

誤解3:桜餅の葉っぱは柏餅と同じように食べないもの。

両者は異なります。桜餅の葉は食用として加工されたもので、商品によっては葉ごと食べることも想定されています。柏餅の葉は通常、餅を包むために使い、食べる前に外します。

なお、食べる場合も、食用に加工された市販の桜葉を選ぶことが前提です。公園や街路樹などに生えている桜の葉を、そのまま摘んで食べることは避けてください。

桜餅の葉っぱは、香りを楽しむための素材であると同時に、食べることもできる素材です。この二つの役割を理解すると、桜餅の楽しみ方が広がります。

【桜餅の葉っぱ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:桜餅の葉っぱは食べても大丈夫ですか?
A1:はい。桜餅に使用されている食用の塩漬け桜葉は食べられます。ただし、葉の硬さや塩味が気になる場合は外して構いません。

Q2:桜餅の葉っぱを食べないのはマナー違反ですか?
A2:マナー違反ではありません。葉を外して餅と餡を味わう食べ方も一般的です。食べるかどうかは個人の好みで判断できます。

Q3:桜餅の葉っぱは何の桜ですか?
A3:主にオオシマザクラの葉が使用されています。大きく包みやすい葉で、塩漬けにすることで桜餅特有の香りが生まれます。

Q4:桜餅の葉っぱを塩漬けにするのはなぜですか?
A4:香りを引き出し、保存性を高めるためです。塩漬けして熟成させることで、クマリンという芳香成分による独特の香りが生まれます。

Q5:桜餅の葉っぱは関東と関西で違いますか?
A5:基本的には両方ともオオシマザクラの塩漬け葉が使われます。ただし、葉の枚数や硬さ、巻き方は商品によって異なります。大きな地域差は餅の生地や形にあります。

Q6:桜餅の葉っぱを外すと香りもなくなりますか?
A6:いいえ。塩漬けした葉から餅へ香りが移っているため、葉を外しても桜の香りを楽しめます。

Q7:柏餅の葉っぱも食べられますか?
A7:柏餅の葉は一般的に食べず、餅を包むためのものとして使われます。桜餅の葉とは用途が異なるため、通常は外して食べます。

まとめ:桜餅の葉っぱは好みで選ぶ!香りと歴史を楽しむ春の和菓子

桜餅の葉っぱは、主にオオシマザクラを塩漬けにしたもので、食べても外しても問題ありません。

葉っぱを食べれば、餅の甘さと葉の塩味、独特の香りが一体となった味わいを楽しめます。反対に外せば、餅や餡の風味と、葉から移った繊細な香りをじっくり味わえます。

その背景には、1717年に山本新六が考案したと伝わる長命寺桜餅の歴史があります。江戸の花見文化から生まれた桜餅は、関西にも広がり、道明寺粉を使った独自のスタイルへと発展しました。

また、静岡県松崎町で受け継がれている桜葉の栽培や塩漬けの技術も、現在の桜餅を支える大切な食文化です。

桜餅の葉っぱに絶対的な正解はありません。葉の柔らかさや塩味、餅との相性を確かめながら、自分に合った食べ方を選ぶことが一番です。

次に桜餅を食べるときは、葉っぱを単なる包み紙として見るのではなく、300年以上にわたって受け継がれてきた香りと食文化の一部として味わってみてください。

参考にした主な資料

- 農林水産省「うちの郷土料理」東京都・大阪府の桜餅
- 農林水産省「観るだけじゃない桜の魅力」
- 静岡県公式「しずおか食の情報センター」
- 松崎町公式「大島桜」「桜葉の栽培」
- 全国和菓子協会「和菓子は五感の芸術」
- 桜の食文化300周年委員会「桜もちの歴史」
- 長命寺桜もち・東都のれん会の紹介資料

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トレンドリサーチャー 葛西 纱英
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