えくぼがある人に対して、どのような印象を持つかは見る人によって異なります。ただし、笑顔になったときに頬にくぼみが現れることで、表情に立体感や個性が生まれやすいのは確かです。
えくぼがある人によく見られる印象
一般的に、えくぼがある人には次のようなイメージが結び付けられています。
- 親しみやすい:笑顔のときに表情の変化が目立ち、柔らかな雰囲気に見える。
- かわいらしい:頬のくぼみが顔のアクセントとなり、愛嬌のある印象を与える。
- 若々しい:笑ったときの頬の動きが強調され、表情が生き生きと見える。
- 印象に残りやすい:顔の特徴として覚えられやすく、個性につながる。
- 笑顔が魅力的:口元と頬の動きが組み合わさり、表情に特徴が生まれる。
これらは、えくぼを持つ人全員に当てはまる性格的特徴ではありません。外見から受ける印象と、本人の内面は別のものです。
えくぼがある人は明るい性格なのか
「えくぼがある人は明るい」「社交的で人付き合いが得意」という話を見かけることがあります。
しかし、えくぼの有無と性格特性に直接的な因果関係があることを示す十分な科学的証拠はありません。
心理学では、顔の特徴から相手の性格を推測する認知の仕組みが研究されています。2000年に発表されたHassinとTropeの研究では、顔から性格を読み取ろうとする判断が意思決定に影響し、実際以上の確信を生む可能性が示されました。
つまり、えくぼを見て「優しそう」「明るそう」と感じることと、その人が実際に優しく明るい性格であることは同じではありません。
えくぼがある人の印象がよくなりやすい理由
注目したいのは、えくぼそのものよりも、えくぼが現れるタイミングです。
多くの場合、えくぼは笑顔を作ったときに目立ちます。笑顔によって頬や口元が動くため、顔全体の印象も変わります。
東京大学の高橋翠氏が2021年に発表した笑顔と顔の魅力に関する研究レビューでは、31件の研究のうち23件で、笑顔が顔の魅力に対して肯定的な影響を与えていました。一方、8件では明確な影響が認められませんでした。
この結果から分かるのは、笑顔が好印象につながる可能性はあるものの、すべての人が同じ評価をするわけではないということです。
えくぼがある人の魅力も、くぼみだけではなく、表情や目元、笑顔全体のバランスによって生まれます。
【えくぼができる理由】表情筋の仕組み・遺伝・後天的な変化

えくぼができる主な理由は、頬の筋肉と皮膚の付着構造にあります。
一般的な頬のえくぼは、単純に皮膚が薄いからできるものでも、笑顔の練習によって筋肉が鍛えられた結果でもありません。
えくぼを作るのは大頬骨筋
頬には、笑顔を作るときに重要な役割を果たす「大頬骨筋(だいきょうこつきん)」があります。
大頬骨筋は頬骨付近から口角に向かって伸びる表情筋で、収縮すると口角を上外側へ引き上げます。
通常とは異なる筋肉の分岐や皮膚への付着がある場合、笑顔を作ったときに皮膚が内側へ引っ張られ、くぼみが生じます。
1998年に医学誌『Clinical Anatomy』で発表されたPessaらの解剖学研究では、50例の半顔の解剖調査で17例に大頬骨筋の二分型が確認されました。
この筋肉の下側の束が皮膚に付着する構造が、頬のえくぼを生み出す仕組みの一つと説明されています。
えくぼは遺伝する?優性遺伝という説の真相
えくぼと遺伝の関係には、長年にわたって議論があります。
従来は、えくぼは優性遺伝によって受け継がれる特徴だと説明されることがありました。つまり、両親のどちらかがえくぼを持っていれば、子どもにも現れやすいという考え方です。
しかし、現在の遺伝学では、えくぼを単一の遺伝子による単純な優性遺伝として説明するには根拠が不足しています。
米国国立医学図書館が運営するMedlinePlus Geneticsも、えくぼは家族内で見られる傾向がある一方、関係する遺伝子が特定されておらず、遺伝の仕組みについて十分な研究がないと説明しています。
加えて、2026年2月19日公開のThe Tech Interactiveによる遺伝学解説では、次のような研究情報が紹介されました。
- 一卵性双生児150組を対象とした研究がある。
- そのうち、えくぼを持つ8組の双子のうち5組で、形や深さが一致していた。
- ただし、対象となった双子の数が少なく、遺伝の影響を確定するには不十分。
- 顔の形態形成には24を超える遺伝子が関係するという研究もあり、単一の遺伝子だけでは説明しにくい。
この研究紹介は、遺伝が関係している可能性を示しながらも、えくぼ専用の遺伝子が特定されたわけではないことを明らかにしています。
親にえくぼがなくても子どもにできる?
答えは、できます。
親にえくぼがないからといって、子どもにも絶対に現れないわけではありません。
顔の形や筋肉の構造には複数の要因が関係します。家族内で同じ特徴が見られる場合もあれば、親には見られない特徴が子どもに現れる場合もあります。
また、子どもの頃にはえくぼがあったのに、大人になるにつれて目立たなくなるケースもあります。
後天的にえくぼができる理由
えくぼは生まれたときから一生同じ状態で存在するとは限りません。
MedlinePlus Geneticsによると、赤ちゃんは頬の脂肪によってくぼみが目立つことがあり、成長して頬の脂肪が減ると見えなくなる場合があります。また、幼少期になってからえくぼが現れる人もいます。
後天的に目立つようになる要因として考えられるのは、次のような変化です。
- 顔の脂肪量や分布の変化
- 成長に伴う顔の骨格や軟部組織の変化
- 筋肉と皮膚の付着構造が表情によって目立つようになること
- 傷痕や炎症などによる局所的な皮膚の変化
ただし、表情筋を鍛えれば自然なえくぼが必ずできるという医学的根拠はありません。
【片えくぼと両えくぼの違い】できる位置・種類・ほうれい線との見分け方
えくぼには、片側だけにできるものと、左右両方にできるものがあります。
また、頬の中央付近に現れるもの、口角に近いものなど、位置や深さにも個人差があります。
医学的には、左右の数によって性格や運勢が決まるという証拠はありません。
片えくぼの特徴
片えくぼは、笑ったときに左右どちらか一方の頬だけにくぼみが現れるタイプです。
左右の筋肉の形状や皮膚への付着の違いなどによって生じます。
片側だけにあるため、表情に左右差が生まれ、顔の印象を特徴付けることがあります。
人相学では、片えくぼを個性的な魅力や対人関係に結び付ける解釈もありますが、左右の違いから恋愛傾向や性格を判断する科学的根拠はありません。
両えくぼの特徴
両えくぼは、笑顔になったときに左右の頬にくぼみが現れるタイプです。
左右対称に見える場合もあれば、片側のくぼみが深く、反対側が浅い場合もあります。
両側にえくぼがあるからといって、片側だけの人よりも魅力的であるという医学的な基準はありません。
えくぼの位置による違い
えくぼは現れる場所によって見た目の印象が変わります。
頬の中央付近
笑ったときに頬の中央からやや口元寄りに現れるタイプ。一般的にイメージされる頬のえくぼに近い形です。
口角に近い位置
口元の動きと連動して現れるくぼみ。頬の中央にできるものとは見た目の印象が異なります。
あごの中央
あごの中央にあるくぼみは、一般に「割れあご」と呼ばれる特徴です。頬のえくぼとは別の解剖学的特徴です。
なお、左右どちらにあるか、頬のどの高さにあるかによって、恋愛運や金運が決まるという医学的な仕組みはありません。
えくぼとほうれい線の違い
えくぼとほうれい線は、どちらも顔にできるくぼみや線ですが、構造と見え方が異なります。
| 比較項目 | えくぼ | ほうれい線 |
|---|---|---|
| 見た目 | 小さな点状・円形のくぼみ | 鼻の横から口角付近に伸びる線 |
| 主な位置 | 頬や口角付近 | 小鼻の横から口元 |
| 主な仕組み | 筋肉と皮膚の付着構造 | 筋肉・皮膚・脂肪などの構造 |
| 笑ったとき | くぼみが現れやすい | 線が深くなりやすい |
| 安静時 | 目立たないことも多い | 見えることも多い |
| 加齢との関係 | 目立ち方が変化する場合がある | 加齢などで深くなる場合がある |
ほうれい線は、鼻の脇から口角方向に伸びる線状の構造です。唇や頬を動かす筋肉、皮膚、脂肪などが関係しています。
一方、典型的なえくぼは局所的なくぼみです。笑顔を作ったときに筋肉の収縮によって皮膚が引き込まれる点が大きな違いです。
【えくぼがある人はモテる?】人相学・恋愛運・スピリチュアルな意味
「えくぼがある人はモテる」という話には、外見的な魅力と心理的な印象という2つの側面があります。
えくぼがある人は恋愛で有利なのか
えくぼがある人は、笑顔の際に頬に特徴的なくぼみが生まれます。
そのため、相手の記憶に残ったり、笑顔が印象的に見えたりする可能性があります。
ただし、えくぼがある人の恋愛成功率が高い、異性から必ず好かれるといったことを裏付ける十分な統計データはありません。
前述した東京大学の研究レビューが示しているのも、えくぼ単独の効果ではなく、笑顔全体が魅力の評価に与える影響です。
恋愛では、表情だけでなく、会話の相性、価値観、信頼関係、相手への接し方なども関係します。
えくぼは魅力を引き立てる顔の個性にはなり得ますが、モテることを保証する特徴ではありません。
えくぼの人相学ではどんな意味がある?
人相学は、顔の形やパーツから性格や運勢を読み解こうとする伝統的な考え方です。
えくぼについては、一般的に次のようなポジティブな解釈が紹介されることがあります。
- 人から好感を持たれやすい。
- 愛嬌があり、人間関係に恵まれる。
- 異性から注目されやすい。
- 人との縁を大切にする。
- 恋愛において魅力を発揮する。
ただし、これらは人相学上の解釈であり、統一された科学的な判定基準ではありません。
また、片えくぼと両えくぼ、左側と右側の違いについても、流派によって説明が異なります。
特定の位置にえくぼがあるからといって、恋愛運や結婚運が高いと断定することはできません。
えくぼのスピリチュアルな意味
スピリチュアルな解釈では、えくぼを「人を惹きつける魅力」「幸運の象徴」「愛情に恵まれる印」として捉えることがあります。
こうした考え方は、えくぼが笑顔とともに現れることや、昔から愛嬌のある顔立ちの特徴として好意的に受け止められてきたことと関係していると考えられます。
一方、えくぼの位置や数によって運命が決まるという科学的な証拠はありません。
占いやスピリチュアルは、自分の個性を前向きに捉えるための楽しみ方の一つです。医学的な事実と混同しないことが大切です。
えくぼがある人の恋愛運を考えるときのポイント
人相学の解釈を楽しむ場合も、現実の恋愛では次のような要素に目を向けるとよいでしょう。
1. 相手の話を丁寧に聞けるか。
2. 自分らしい表情や態度で接することができるか。
3. 相手の価値観を尊重できるか。
4. 外見だけではなく、信頼関係を築けるか。
えくぼは個性の一つです。自分の魅力を否定せず、自然な笑顔を大切にすることが、対人関係においても役立ちます。
【えくぼに関する誤解と医学的な注意点】後天的な変化は大丈夫?
えくぼについては、遺伝や美容に関するさまざまな情報が流通しています。ここでは、間違えやすいポイントを整理します。
えくぼは笑顔の練習で作れる?
自然なえくぼは、主に筋肉と皮膚の解剖学的な構造によって生じます。
笑顔の練習をして表情筋を動かしたとしても、自然なえくぼを確実に作れるという根拠はありません。
一時的に頬に力を入れてくぼみを作ることと、自然なえくぼが形成されることは別です。
大人になってから急にえくぼができた場合
成長や顔の脂肪量の変化によって、それまで目立たなかったえくぼが見えるようになることはあります。
一方、突然できたくぼみが必ずしも一般的なえくぼとは限りません。
2026年のThe Tech Interactiveの遺伝学解説では、皮膚の病気や傷痕、まれに歯や歯茎の感染によっても、顔にくぼみが生じることが紹介されています。
特に次のような変化がある場合は、皮膚科や歯科などの医療機関で確認することが大切です。
- 以前はなかったくぼみが急に現れた。
- 笑っていないときも同じ場所がへこんでいる。
- 赤みや腫れ、痛みを伴う。
- 歯や歯茎にも違和感がある。
- くぼみが短期間で大きくなっている。
美容上の特徴としてのえくぼと、病気や炎症などに伴う皮膚の陥凹は区別する必要があります。
えくぼを美容整形で作ることはできる?
医療機関では、えくぼ形成術(ディンプル形成術)という美容施術が行われています。
2025年10月に医学誌『Facial Plastic Surgery』に掲載されたレビューでは、えくぼ形成術の技術や解剖学的な注意点が整理されています。
また、2020年に韓国の形成外科医らが発表した2,048人の手術症例の研究では、159人、全体の7.7%が再手術を受けていました。再手術の理由には、くぼみが十分にできなかったことや、形成したくぼみが消失したことなどが含まれています。
美容施術には、仕上がりの左右差、感染、過度な陥凹、時間経過による変化などのリスクがあります。
自然なえくぼと同じような仕上がりを必ず得られるわけではありません。希望する場合は、顔面の解剖学に詳しい形成外科専門医などに相談し、施術方法とリスクを十分に確認する必要があります。
【えくぼがある人に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:えくぼがある人は性格が明るく、優しいのでしょうか?
A1:えくぼの有無と性格に直接的な関係があるという科学的根拠はありません。ただし、笑顔とともにえくぼが見えることで、周囲から明るく親しみやすい印象を持たれることはあります。
Q2:えくぼは両親から遺伝しますか?
A2:遺伝的な要素が関係する可能性はあります。家族内で似たえくぼが見られることもありますが、単一の遺伝子による単純な優性遺伝と確定しているわけではありません。親にえくぼがなくても、子どもに現れる可能性があります。
Q3:片えくぼと両えくぼでは恋愛運が違いますか?
A3:人相学では片側と両側で異なる解釈が紹介される場合がありますが、恋愛運や結婚運に差が生じるという科学的根拠はありません。左右の違いは、主に顔の筋肉や皮膚の構造による個人差です。
Q4:大人になってからえくぼができることはありますか?
A4:あります。成長や顔の脂肪量の変化などによって、以前は目立たなかったくぼみが見えるようになることがあります。ただし、突然できた固定的なくぼみや痛みを伴う変化は、医療機関で確認してください。
Q5:えくぼとほうれい線は同じものですか?
A5:異なります。えくぼは頬や口元にできる局所的なくぼみで、主に表情筋と皮膚の付着構造が関係します。ほうれい線は鼻の脇から口元に伸びる線状の構造で、筋肉や皮膚、脂肪などが関係しています。
まとめ:【プロの結論】えくぼがある人の魅力は顔の個性と自然な笑顔にある
えくぼがある人の特徴を整理すると、医学的に明らかなのは、頬の筋肉や皮膚の付着構造によって生じる身体的な個性だということです。遺伝が関係する可能性はありますが、単純な優性遺伝だけで説明できるものではありません。
片えくぼと両えくぼ、頬の中央や口角付近などの位置の違いも、基本的には個人の解剖学的な特徴です。左右の違いによって性格や恋愛運が決まるわけではありません。
一方、笑顔に対する心理的な評価には研究上の裏付けがあります。えくぼがある人が魅力的に見えるとすれば、くぼみそのものだけでなく、笑顔による表情の変化や顔全体の印象が関係している可能性があります。
人相学やスピリチュアルでは、えくぼを幸運や愛嬌の象徴として楽しむこともできます。ただし、占いの解釈を性格や将来の判断材料にする必要はありません。
えくぼは、他人と比べて優劣を決めるものではなく、その人ならではの顔の個性です。生まれつきの特徴も、成長によって変化する特徴も、自分らしさの一部として捉えることが大切です。
2026年現在も、えくぼの遺伝や形成メカニズムには研究の余地があります。科学的な事実と伝統的な人相学の解釈を区別しながら、自分や周囲の人の個性を理解することが、えくぼに関する情報を正しく受け取るための判断基準になります。